袴と振袖の違いを解説
卒業式の袴に成人式の振袖を使える?

2021年12月22日

成人式や卒業式などの女子の定番スタイルである袴や振袖。実際に式に参加した方以外にも、当日の会場近くやニュースなどで、着物を着て参加する人々を見たことがあるという方も多いと思います。

ところで、袴と振袖は一見するとどちらも同じように感じられますが、実はこのふたつには明確な違いがあることをご存知でしょうか?

この記事では、袴と振袖の特徴をまとめ、それぞれの違いについて分かりやすく解説していきます。

また、成人式の日に着た振袖を卒業式に着る袴と合わせて着用してもよいのか、着付けのルールやマナー的な問題はないのかについてもまとめますので、着物や和装のコーディネートを考えるときの参考にしてみてください。

袴と振袖はそれぞれ違うもの

実は、袴と振袖は「着物」というカテゴリが同じなだけであって、基本的には全くの別物です。ざっくりと簡単にまとめると、袴と振袖の違いは以下の通りです。

  • 袴……ズボンやスカート、ワイドパンツ状の履物となる和装(袴の上に振袖などの別の着物を合わせる)。
  • 振袖……花柄などの刺繍が入った袖の長い着物。袴を合わせず着ることもできる。

袴と振袖の最も大きな違いは、礼装として単体で身に着けられるかどうかです。

具体的には、振袖は上半身部分と下半身部分をセットで着付けることができるため、袴を合わせない場合でもそのまま帯を締めて全身を振袖でまとめることができます。もちろん、この着付け方はルールや作法に沿ったものです。

一方、袴はあくまでも履物であるため、上半身部分に着用する別の着物を用意する必要があります。このときに振袖などと合わせて、様々なコーディネートを楽しんでいくのです。

卒業式の袴には成人式で着た振袖を合わせても問題ない

成人式で着用した振袖に卒業式に着用するための袴を合わせたいという方も多いと思います。しかし、成人式用の振袖に卒業式用の袴を合わせることで、着付けの作法やマナーに何か問題があるのではないかと疑問を持つこともあるでしょう。

結論からいえば、成人式で着た振袖に卒業式に着る袴を合わせることは、着物や和装のマナーとしても、正装としても全く問題ありません。

そもそも卒業式とは、出席する学生がご家族や大学の関係者に対して、これまでお世話になったことを感謝し、反対にご家族や大学の関係者が卒業していく学生をお祝いする式典です。

そのため、未婚女性の第一礼装である振袖と、明治時代の女子学生が着用する服装というルーツを持つ袴を合わせて着ることは、失礼にはあたらないというのが通説です。

ちなみに、振袖自体が独立した第一礼装となっているので、「袴を合わせず振袖のみを着用したい!」という場合も失礼にはあたりません。

卒業式に袴が履かれる理由と由来

卒業式に袴を着用して出席する女子学生は多く、式の会場を見てみるとスーツではなく袴姿の女性の方が多いということも珍しくはないでしょう。

しかし、そもそもなぜこれほどまでに卒業式に袴を履くスタイルが定着したのでしょうか?その理由は、袴が着用されるようになった明治時代までさかのぼります。

明治までは、袴は平安時代に宮廷に仕える女性が身に着ける服として用いられていましたが、明治時代が到来し洋風文化が日本に定着してからは、当時の女性たちの間で袴が再び注目されるようになりました。

やがて女学校に行く際の制服代わりとして、着物よりもスムーズに動けて機能性と上品さを引き出すファッション性の両方が高い袴が用いられるようになり、式典の場で袴を着用するスタイルが定着するようになったのです。

なお、明治時代はまだ女性の社会的な地位が現代よりも低く、袴を着用して学校に通えるのは社会的地位の高い一部の女性のみでした。そのため、袴を身に着ける女学生は当時の女性から見ても憧れのスタイルだったと考えられています。

卒業式の袴に振袖を合わせるときのポイント

ここまで、袴と振袖は基本的に別物であることと、成人式で着用した振袖に卒業式に着用する袴を合わせることに作法やマナー的な問題はないことのふたつの内容を解説しました。

しかし、袴と振袖を合わせて着用する場合、できるだけ小振袖を選ぶなど、何点か気を付けておきたいポイントがあります。

袴と振袖を合わせるときに気を付けたいポイントは、以下の4点です。

  • 振袖の種類はできるだけ小振袖を選ぶ
  • 中振袖を着る場合は全体のバランスに注意する
  • 袴や帯の色は落ち着いた色合いの方が使いやすい
  • 裾を踏まないように袴は短めに着付ける

以下でそれぞれ詳しく解説していきます。

振袖の種類はできるだけ小振袖を選ぶ

振袖は袖丈の長さに応じて「大振袖・中振袖・小振袖」の3種類に分けられます。成人式や卒業式に袴を着るなら、袖丈が最も短く、袴に合わせることですっきりとした活動的な印象を与えられる小振袖でコーディネートを考えるのがおすすめです。

中振袖を合わせても着付けに問題はありませんし、中振袖の袖の長さを活かして、小振袖よりも豪華かつ華やかな雰囲気を引き出すことも可能です。しかし袖が長すぎて歩くときに踏みつけてしまったり、地面や床に袖を引きずってしまったり、卒業式の場にふさわしくない程に華美な印象になってしまうということが小振袖よりも起こりやすいので注意しましょう。

ちなみに、大振袖は結婚式などの婚礼の式典で主役となる女性が着用することが多く、中振袖は成人式やパーティなど、卒業式以外のお祝いの席で着用されることが多いです。

中振袖を着る場合は全体のバランスに注意する

卒業式に中振袖を着て出席する場合は、全体の着物のバランスを見て、派手な印象になり過ぎないよう注意することが必要です。

オススメの対策としては、ヘアセットを比較的シンプルにすること。ヘアスタイルを派手すぎないものにすることで、髪型・振袖・袴のすべてを合わせた全体のバランスを整えることができます。

具体的なヘアアレンジとしては、ショートヘアならかんざしや小物などを使わない、ロングヘアならシンプルなポニーテールにしたり、アップにせず髪を下ろしたりする……などが挙げられます。

髪飾りなどの小物が全く使えないのが寂しいときや、どうしてもアクセントが欲しいという場合は、色や柄がシンプルなリボンなどを組み合わせてみるのもよいでしょう。

袴や帯の色は落ち着いた色合いの方が使いやすい

袴や振袖を卒業式という場にふさわしいようコーディネートする場合、全体を通して派手すぎないようにまとめることが大切です。

うまくまとまらない場合は、袴や帯の色を青、緑、黒といった寒色系にしてみるのもおすすめします。一緒に着る振袖と合わせてみて、華美になり過ぎない色の組み合わせを探ってみるのがポイントです。

もちろん自分の好みとシンプルさを両立できればベストですが、どうしても決まらない場合は袴と振袖を同系色にまとめてみるのもよいでしょう。

たとえば振袖が青色なのであれば、袴の色は紺色やネイビーのものを選ぶと、全体的に落ち着きのある印象が引き立ちやすいです。振袖が赤、ピンク、黄色といった暖色系なのであれば、袴の色は同じ赤系統の色である紫色、えんじ色などを選ぶとすっきりとまとまるでしょう。

裾を踏まないように袴は短めに着付ける

大学の卒業式当日は、会場までの移動、入退場、起立・着席、卒業証書の授与など、移動や立ち座りの動作がとても多くなります。そのため、裾を踏んだりつまずいたりしないように袴はやや短めに着付けることをおすすめします。

裾が地面や床に触れるほど袴を長めに着付けてしまうと、それだけつまずく危険が大きくなるだけではなく、袴の裾が汚れやすくなってしまいます。さらに、袖丈の長い中振袖を着用している場合は、袖を踏んでしまわないよう振袖にも注意しなければなりません。

そのため、卒業式の袴にはなるべく小振袖を合わせるようにする、移動時は振袖部分を少し持ち上げるように歩くなどの対策が必要になるでしょう。

なお、ブーツを履くと身長が高くなるため、コーディネート、裾の調節、おはしょりなどに応じてスムーズに移動しやすいブーツを選んでみるのもよいでしょう。

まとめ

袴はズボンやスカートのような履物を指しており振袖などと合わせて着用しますが、振袖はそれ単体で着物として着用することができるという違いがあります。

また、袴も振袖も礼装として着用することができるため、成人式で一度着用した振袖と、卒業式のために用意した別の袴を合わせて着用することは礼儀作法やマナーには反しないというのが現在主流になっている考えです。

今回ご紹介した選び方のポイントを参考にして、卒業式という場にふさわしくありつつもデザインやカラーで自分らしい個性を出せるあなただけのコーディネートを楽しんでみてください。

なお、袴レンタルのマイムでは、卒業袴だけではなく着物のレンタルも取り扱っております。草履からブーツに変更できるオプションもご用意しているため、様々な組み合わせを楽しむことができます。

もちろん、振袖などの自前の着物をお持ち込みいただいて、そちらとレンタル袴を合わせることも可能です。

コーディネートの相談も承っておりますので、卒業式に袴で参加する場合はぜひご利用ください。

《参考》
レンタルプラン|マイム|卒業袴・振袖・ウェディングドレスのレンタル

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