袴の構造と着付け方を徹底解説!
男性用袴・女性用袴で違いはある?

2021年12月23日

袴は日本に古くから伝わる和装のひとつです。一見するとスカートを履いているように見えますが、実はズボンのような作りになっている袴もあり、性別や用途、好みに合わせて様々な袴を選んで履くことができます。

この記事では、スカートのような作りの袴とズボンのような作りの袴の違いや、男性用の袴と女性用の袴の違い、それぞれの特徴や着付けの手順について解説していきます。

袴を美しく着るためのポイントや着崩れを防ぐ方法も紹介しますので、参考にしてください。

女性用袴の構造の特徴とは?

女性用の袴には、「スカートタイプの構造になっている袴が多い」「帯の結び位置が男性用の袴とは異なるものが多い」などの特徴があります。

ここでは、女性用の袴の構造と特徴をひとつずつ詳しく解説していきます。

スカートタイプの「行灯袴」が定番

成人式や卒業式に使われることが多い女性用の袴は、股の部分がないスカートタイプである行灯袴(あんどんばかま)と呼ばれるものが多いです。

行灯袴の特徴を簡単にまとめると、次のようなものが挙げられます。

・股部分の仕切りがなく、二股に分けられていない
・男性用の袴にはある腰板という部分がない
・腰部分の前後に芯となる板紙が入らないので、着用時の圧迫感がほぼない

一方、巫女の方が神事に使われるものや、剣道などの武道で使われるものには、行灯袴よりも比較的動きやすい馬乗り袴(うまのりばかま)が使われることが多いです。

ズボンタイプの馬乗り袴は男性が身に着けることが多いですが、女性が身に着けることも珍しくはありません。スカートタイプの行灯袴を男性が身に着けることもあります。

しかし現在の一般的な傾向としては、「女性は行灯袴を着用し、成人式などでは行灯袴に振袖を合わせる」「男性は馬乗り袴を着用する」というのが主流になっています。

バストのすぐ下で帯を結ぶと全体のバランスが良くなる

女性用の袴の特徴のひとつが、バストのすぐ下の位置で帯を結ぶと全体のバランスが良くなるということです。

胸のすぐ下で帯を結ぶことでウエストが締め付けられにくくなり、足が長くすっきりとしたスタイルの印象を際立たせることができます。

反対に胸元から帯を結ぶ位置までの距離が空いてしまうと、胴体と脚部分のバランスが悪くなってしまうことがあるので注意しましょう。

具体的には、男性用の袴のように腰の高さまで下がった位置で帯を結んでしまうと、着付けのバランスが悪くなってしまいやすいです。男性用の袴と帯の結び位置を混合しないよう注意が必要となるでしょう。

男性用袴の構造の特徴とは?

一見、女性用の袴と似ているものも多いように感じられる男性用の袴ですが、その構造や定番のスタイルには違いも多いです。

ここでは、男性用の袴の構造や特徴について解説していきます。

ズボンタイプの「馬乗り袴」が定番

男性用の袴に多いのは、股の部分に仕切りがある馬乗り袴です。成人式や結婚式などの祝いの席で、紋が入った羽織と、黒の袴を着用するスタイルは現代の代表的なスタイルといえるでしょう。

馬乗り袴はその名の通り馬に跨るための袴として生まれた経緯があり、股と脚が仕切りで区切られているためズボンを履いている時のような足さばきができます。そのため、女性が着用することの多い行灯袴よりも比較的動きやすいといえるでしょう。

現在のマチが広い馬乗り袴が広まったのは明治時代のことです。明治初期までは女性も馬乗り袴を着用していました。やがて行灯袴が登場すると、男性は馬乗り袴を、女性は行灯袴をそれぞれ着用することが定着するようになりました。

ただし、現代においてはファッションとして行灯袴を着用する男性も少なくありません。

男性は馬乗り袴、女性は行灯袴を必ず着なければならないという決まりはないため、普段着やファッションとして袴を着るのであれば、自分が着たいと思う好きな袴を着るのがよいでしょう。

女性用の袴とは帯を結ぶ位置が異なる

バストのすぐ下で帯を結ぶことが多い女性用の袴とは違い、男性用の袴は腰の高さで帯を結ぶことが多いです。

そのため、女性の場合は全体的に着物よりも袴が占める割合が高くなりますが、男性は袴と着物の比率が同じ程度になりやすい特徴があります。

その理由は、馬乗り袴が生まれた時代やルーツにあります。

袴は元々刀を持つことを許された武士が着用するものであったため、腰に刀を差して移動できる位置に帯を締め、刀が落ちないよう長着の上に帯を巻いて袴紐で固定する構造になったとされています。

腰板という台形のパーツを当てる

男性が袴を着る場合、腰板という道具も一緒に着付けすることが多いです。

腰板とは腰の部分に当てる台形のような形をしたパーツで、中には厚紙を重ねた芯材が入っています。腰板は腰を支えると同時に姿勢がまっすぐ伸びるコルセットのような役割を果たすため、袴を着た時のシルエットが綺麗になりやすいです。

また、腰板は袴を着た姿を後ろから見た際のアクセントになるだけではなく、ウエストからお尻の部分にかけてボリュームを生む役割も持っています。

一方、女性が着用することの多い行灯袴はバストのすぐ下で帯を結ぶため腰板はなく、背中の部分に帯の結び目だけが見える構造になっています。

袴の着付けの手順

袴の基本的な着付けの流れとしては、男女ともほぼ同じです。

着付けの際に気を付ける点や、男女の違いなどを手順ごとに説明しますので、袴を着る際の参考にしてみてください。

はじめに、袴を着付ける際に用意するものを簡単にまとめると、次の通りになります。

・着物
・袴
・羽織(男性の場合)
・長襦袢
・着付け小物
・足袋と肌着
・タオル(あれば)

タオルはウエストが細く帯がずり落ちてしまいやすい女性が腰まわりを補正するために使うとよいです。

また、長時間に渡って和装を着続けることが苦しい方向けのクッション代わりとして使用することもできます。必要次第で取り入れてみましょう。

女性の袴の着付け方

女性用の袴の着付けの手順をまとめると、以下のようになります。

  1. 肌着の上から長襦袢を膝上程度の短さに着付ける
  2. 着物を羽織ったら袴から裾が出ない様におはしょりを作る
  3. 帯を腰のやや上に締めて袴から1~2cm見えるよう調整する
  4. 袴を履いて前ひもを背中で交差させ、さらに前でも交差させ、後ろで結ぶ
  5. 袴の後ろを帯の上に乗せ、後ひもを前でしっかりとリボン結び、長い方の紐を下から通し前にたらして完成

女性の袴は着物を着る際に、内側に折り上げる「おはしょり」を作ります。これで胸からウエストのラインを均一にして、着物が落ちてこないよう調整します。

また、袴は真正面から若干脇にずらした右前辺りで紐を結び、リボン結びした後に長く垂らすことも特徴です。

結び目に花の帯飾りをつけたり、髪にもかんざしなどの飾りをあしらうと、全体的に華やかな印象に仕上げることができます。

男性の袴の着付け方

男性用の袴の着付けの手順をまとめると、以下のようになります。

  1. 長襦袢を着たら腰紐をしっかり結んで固定する
  2. その上から着物を着て、長襦袢の衿が数ミリ見える程度の内に合わせて紐で固定
  3. 袴のすそがくるぶしの位置に来るよう調整する
  4. 袴の位置よりも少し上の部分に帯を巻く
  5. 帯を折り畳むように結んだら改めて袴を履く
  6. 後ろの帯に袴の紐をクロスさせたら腰板で隠す
  7. 最後に腰の中央で十字に結び、羽織を着たら完成

男性の場合はまず、長襦袢を着用してから腰紐で固定します。帯はたらさずに十字の形で収納するイメージで折り畳み、腰の位置で帯を結びます。

結んだ帯の上から腰板を装着するため、腰と背中の下部で袴を支えるイメージになります。

羽織を着ると成人式や結婚式などの祝いの席に合う正装になりますが、袴を着て体を動かすような神事に仕える男性や、剣道などの試合で使用する際は羽織を重ねず、着物と袴だけのスタイルで着用することも多いでしょう。

ちなみに、男女どちらの性別であっても着物は右側が前になるように着ますが、男性の衿は洋服のように首のラインに沿ってまっすぐに着付けるという特徴があります。

袴を美しく着付けするための4つのコツ

袴を着付けする際は、いくつかのポイントに気を付けておくと、袴をさらに美しく着付けることができます。

袴を着る際は着付け師の方にすべてお任せする方も多いですが、万が一着崩れてしまったときのために、着付け方や対処法を知っておくと安心して過ごすことができるでしょう。

ここでは、袴を長い時間着ていても着崩れしにくく、なおかつ美しい着付けの状態をキープするためのコツをご紹介します。

袴を着付ける際は、長襦袢の長さを必ず調節する

袴や着物を着る際にインナーとして着用する長襦袢は、袴からはみ出さないよう着物よりも短くおはしょりを作って着付けるとよいでしょう。

長襦袢の長さを調節しないと、着物の隙間や袴の下から長襦袢が見えてしまうので、だらしない印象になってしまいがちです。

また、袴の着付け後に長襦袢が見えていることに気づいても、着物の中に押し込んだり袴で隠そうとすると、帯のゆるみや衿元の乱れに繋がってしまうので、やめた方がよいでしょう。

対処法としては、長襦袢を着てから着物を着る前の段階で、長襦袢がしっかりと裾から出ないのを確認することがベストです。袴を着付ける際は、長襦袢を必ず丁度よい長さまで調節するようにしましょう。

裾の長さはくるぶしに合わせる

袴を着用する際は、自分の身長に合わせて裾の長さを調整することで着崩れを防ぎやすくなります。特に、裾をくるぶしの長さに合わせると、足袋から足が見える心配がなくなるのでおすすめです。

一方、袴をかかとの長さで着付けると、歩く際や椅子に座る際に裾を足で踏んでしまいやすいので、着崩れが起こりやすくなるだけではなく転んでケガをしてしまう危険があります。

裾の長さを調節するときは、「くるぶしと同じ程度の長さ」「足袋の上の足が見えない程度の長さ」のふたつを意識するとよいでしょう。

袴にブーツを合わせるモダンスタイルの場合、くるぶしよりも3~5cm程度短く着付けることもおすすめです。

ブーツは草履と比べて足元が重い印象になりやすいですが、足首部分をはっきり見せることで、足元がすっきりと軽くおしゃれな印象になります。

裾を踏まないよう袴を少しだけ持ち上げる

階段を使った移動時や立ち座りなどの動作による袴の着崩れを防ぎたい場合は、裾を踏んでしまわないよう袴を少しだけ持ち上げるのがポイントです。

特に階段を移動する際は足元が見えづらいので、うっかり裾を踏みつけて袴がずり下がってしまう、衿元がたるんでしまうといったことが起こりやすいです。

椅子に座る際には、袴の背中部分が後ろの方向へ引っ張られてしまわないよう、裾部分を少しつまみ袴にゆとりを持たせておくのもよいでしょう。

万が一袴の背中部分がずり下がってしまったときは、むやみに引っ張らず帯結びの部分に袴を乗せ直すことを意識するのがポイントです。袴の両脇の隙間から手を入れて、着物だけを下に引っ張りつつ、帯を上に持ち上げると元の位置に修正しやすいでしょう。

また、袴を着用している最中はなるべく小股で歩き、身体を大きく動かす動作やひねる動作をしないよう気を付けると、着崩れが起こりづらくなります。

袴の衿元には荷物を入れない

基本的に、袴には洋服のようなポケットはついていません。

荷物の重さによって着崩れが起こってしまう原因となるので、衿元にはなるべくスマホや財布などを入れず、バッグに入れるようにしましょう。着物や和装に合う巾着、バッグ、小物入れをワンポイントとして取り入れることもおすすめです。

また、万が一小物の重さで衿や肩がずり下がってしまった場合、コートのように衿を寄せて整えようとすると、袴は余計に着崩れしてしまいやすいです。

そのため、袴のわきのスリット部分から手を入れ、もう片方の手で衿を押さえながら下方向に少しずつ引っ張っていくのがよいでしょう。

まとめ

袴は大まかにスカートタイプの行灯袴と、ズボンタイプの馬乗り袴のふたつに分けられ、それぞれの構造は異なっています。

行灯袴と馬乗り袴は違った印象や美しさがあるため、袴を選ぶ際や実際に着付ける際に、それぞれの特徴と構造を覚えておくと、ご自身が一番着てみたいと思える袴と出会いやすいでしょう。

袴の着崩れを起こさないよう注意しつつ、おしゃれで華やかな袴姿で大切な記念日が素敵な思い出になるようにしてください。

卒業袴のレンタルはマイム | 学校試着予約会・提携校は全国300校以上!

PAGE TOP